世界レベル、私が出会った異色の宝石商のエピソード【第2話】
世界レベルの異色の宝石商たち:命懸けで掴んだ成功、翡翠の達人
宝石の世界には、数々のドラマと伝説が渦巻いています。
4【川を泳いで渡った宝石商】
今回は、私が長年取引をしている翡翠の卸元、彼の驚くべき人生に迫ります。
彼の倉庫には、数トンもの翡翠原石がところ狭しと並んでいます。
しかし、その裏には、想像を絶する壮絶な物語が隠されていました。
彼は中国の小さな村出身。
結婚を約束した彼女がいましたが、村には十分なお金を稼げる仕事がありませんでした。
そこで、彼は決意します。
香港へ行き、お金を稼いで、結婚資金を作り、村に帰ってくると約束しました。
3人の友達と共に、村を出発したのは50年以上前のこと。
当時、中国から香港へ行くことは厳しく禁止されていました。
彼らは、中国と香港の境界になっている川の一番幅が狭い場所を狙い、真夜中の新月の日に、闇に紛れて川に飛び込みました。
香港へ渡るためです。
しかし、彼らの前に、予期せぬ困難が立ちはだかります。
警備隊に見つかり、銃撃されてしまったのです。
3人のうちの2人は、その場に倒れてしまいました。
かろうじて生き残ったのは、彼一人。
彼は、命からがら川を渡り切り、香港へとたどり着きました。
香港では、いくつかの職を経験した後、彼は翡翠屋さんの加工職人に弟子入りします。
毎日20時間休まず働き、技術を磨きました。
そして3年後、ついに独立を果たします。
彼は、故郷の彼女を迎えに行くために、再び香港から中国へと戻りました。
そして、彼女を無事に香港に連れてきて、結婚。
翡翠の製造卸として、大きく成功を収めました。
翡翠は、表面から中の状態を見極めることは非常に難しく、直感と経験でしか良いものを見つけることができません。
しかし、命をかけて修羅場をくぐり抜けてきた彼は、特別な感で、次々に良い翡翠原石を見つけ出し大富豪になっていきました。
彼は、ミャンマーから翡翠原石を買い付けますが、その目は誰にも真似できないものでした。
彼の成功は、単なる運ではなく、彼の強い意志と、命懸けで掴んだ経験が培った、特別な感性によるものだったのです。
彼の物語は、宝石の世界の厳しさ、そして、その中で成功を掴むために必要な情熱と努力を物語っています。