なぜ?!私が、宝石の仕事を始めたのか? 仕事を始めたきっかけと、奇跡的な出来事!!【第1話】
第1話:運命のインド旅行と、1万円の宝石
宝石の世界に足を踏み入れたきっかけは、30歳の時のインド旅行でした。
バスの窓をガンガン叩くインド人。
窓を開けると、両手いっぱいのカラフルな天然石のネックレスが目に飛び込んできました。
「全部買ってくれたら、3万円だ!」
宝石の名前も価値も何も知らなかった私にとって、それは衝撃的な言葉でした。でも、何となく安いお土産にでもしようかな、と軽い気持ちで交渉を始めました。
周りの人は「そんなものに、関わるな!」と注意しましたが、私は無視して値切り続けました。
「それなら2万円にするから、買ってくれ!」
バスが出発する頃には、「1万円だ!」と値切り、20本ぐらいのネックレスを1万円で買ってしまいました。
1本500円だから、友達や知り合いにプレゼントしてもいいかな、なんて思っていました。
それから、露天のお土産物屋さん等で頻繁にアクセサリーを見るようになり、滞在中に、だんだんと宝石に魅力を感じ始めていました。
今思えば、あのネックレスの品質は、20本1万円でも、かなり高かったし、絶対に買わない値段でした。
当時は、値段よりも、その人たちの力強さ、宝石が持つ力に惹かれていったんだと思います。
ネパールへの宝石探し、そしてまさかの展開!
インドから帰国後、これはビジネスになるかもしれない!と思いました。
インドよりもっと田舎のネパールへ行けば、もっと安く買えて、もっと利益が出るんじゃないか?
インターネットもない時代だったから、情報も何もない。
当時のなけなしの30万円を持って、ネパールへ宝石の買い付けに行きました。
ところが、ネパールに着いて驚きました。
宝石の町もなく、宝石は売ってない!
せっかく来たのに、ガッカリしました。
仕方なく、ネパールで売っていたセーターやマフラー、帽子を30万円分、大量に買いました。
とてもかさばるので、機内に持ち込むこともできず、別便で送ることになりました。
その時、荷物の値段を記入する欄がありましたが、
「これらがいくらぐらいのものなのか、わからない…」
300万円と書いたら、丁寧に扱ってくれるかも、と思いました。
目的を何も達成できず、失意のまま日本に戻りました。
ところが、一週間たっても、1ヶ月経っても2月経っても、荷物が届かない。
おかしいなと思いましたが、外国から荷物を送った経験もないので、時間がかかるものだと思っていました。
そして、3ヶ月経ったある日、シンガポール航空の職員が二人やってきました。
なんと、荷物が無くなってしまったというのです!
「保証で、値段を記入した300万円を払うので、申し訳ないが許して欲しい」
えええー!まさかの展開に驚きました。
でも、私は冷静になってこう言いました。
「苦労して、経費と時間をかけてネパールまで行って300万円払って買ってきて、それを日本で販売して500万円、600万円にするつもりだったのに、300万円払うからこれで終わりにしてくださいでは、通らないでしょ。」
すると、シンガポール航空の職員は、もう一度上司と相談しますと言って、一旦帰っていきました。
その後再びやって来て、今度は300万円に、なぜかインド行きのチケットを2枚持ってきて、「これが精一杯です」と謝罪してきました。
内心ラッキーと思いながら、「わかりました」と受け取りました。
この時、この2枚のインド行きのチケットと、元手になった300万円が、私の人生を変える事になるとは露も思いませんでした。
【第2話】に続く…